
1,000億件の「意思決定」を突破 — そしてこれからも
1年前、私たちはシリーズAの資金調達を発表し、マーケティングのやり方を根本から変える新しいアプローチに踏み出しました。
そして今回、Auxiaが顧客のために行ってきた意思決定の数が、累計1,000億件を超えました。
ここでいう「意思決定」とは、顧客一人ひとりに対して行われる細かな判断のことです。
どのコンテンツを見せるのか、いつ届けるのか、どのチャネルを使うのか、どんなメッセージにするのか。
こうした判断を、AIがリアルタイムで、継続的に行い続けています。
ただ、重要なのはこの数字そのものではありません。
この仕組みによって、お客様のビジネスがどう変わったのか——そこにこそ意味があります。
実際に、次のような成果が生まれています。
- エンタープライズ導入で、初年度に1,200万ドルの増分収益を創出
- クリックスルー率が5倍に向上
- クロスセルにおける顧客生涯価値が84%向上
- 従来のルールベースシステムからの移行により、新規登録数が50倍に増加
なぜここまで結果が変わるのか
ポイントはシンプルです。
マーケティングのやり方そのものが変わっているからです。
これまでのマーケティングは、「キャンペーンを設計して配信する」ことが中心でした。
あらかじめセグメントを切り、施策を作り、まとめて届けるやり方です。
一方でAuxiaは、顧客一人ひとりに対して、その場その場で最適な判断を行います。
そしてその判断を、次の判断につなげながら、連続的に積み重ねていきます。
つまり、「施策を打つ」から「意思決定を続ける」への転換です。
この違いが、そのまま成果の差になっています。
なぜこの仕組みが必要だったのか
この発想は、私たちの原体験から生まれています。
Google在籍時、私たちは最先端のAIを使って、大規模なパーソナライズが実現される現場を見てきました。
一人ひとりに最適化された体験が、リアルタイムで提供される世界です。
一方で多くの企業では、状況がまったく違いました。
マーケターは10以上のツールを使い分けながら、データを持っているにもかかわらず、それを十分に活かせていませんでした。
なぜなら、既存のツールはAIを前提に設計されていなかったからです。
AIは後から追加されてきましたが、やり方自体は変わっていませんでした。
Auxiaがやっていること
Auxiaは、この前提を変えるために作られています。
特徴はシンプルで、「すべてをつなげて判断する」ことです。
例えば、
・購入を促すべきか
・新しいサービスを試してもらうべきか
・関係性を深めるべきか
といった複数の選択肢を、その都度バランスを取りながら判断します。
さらに、メールやアプリ内通知、Web、アウトバウンドなどのチャネルも分断せず、まとめて扱います。
その結果、顧客ごとに「次に何をするべきか」が常に更新され続ける状態になります。
顧客の広がり
この1年で、Fortune 500やGlobal 2000を含む企業との取り組みが大きく広がりました。
現在、Atlassian、Assurant、The Guardian、Comcast、メルカリ、MUFG、NTTドコモなど、多くの企業で活用されています。
特徴的なのは、一度導入すると、活用が全社に広がっていくことです。
その結果、顧客あたりの意思決定数は6倍に増加し、ネットドルリテンションは176%に達しています。
プロダクトの進化
プロダクトとインフラも、それに合わせて進化してきました。
- マーケターが自然言語で収益インサイトを得られる アナリストエージェントをリリース
- 意思決定、コンテンツ生成、分析を一体化した AI ネイティブインターフェース を提供
- 1日あたり100億イベントを処理し、ピーク時には毎秒15,000クエリに対応(2025年初頭比で約3倍に拡張)
チームとグローバル展開
VMG Technology Partners主導の 2350万ドルのシリーズAラウンドにより、プロダクト開発と市場展開を加速し、組織は前年比で4倍に拡大しました。また、以下のメンバーが新たに加わっています。
- リッチ・アンステット 最高収益責任者として入社。スマートリクルーターズやカルチャーアンプなどの企業で25年間グローバルGTMチームを率いてきました
- 吉嗣浩隆 日本支社での代表取締役として入社。Google本社にて Google Play国際展開の立ち上げ をゼロから主導してきました。
- エリック • バーバー プロダクトマーケティング担当副社長に就任。
- プロダクトおよびエンジニアリングの主要メンバー: プリンカ・ワドワ、 ナガラジハッティ、および シッダーダ・ガリメラ
現在は、パロアルト、東京、バンガロールの3拠点で事業を展開しています。
これからの展開
1,000億件の意思決定の価値は、数そのものではありません。
その裏で、「判断の蓄積」が起きていることにあります。
すべての意思決定には、その時の状況と結果が紐づいて記録されます。これが積み重なることで、企業ごとに独自の知見がたまっていきます。
つまり、使えば使うほど、より良い判断ができるようになるということです。
これまで人に依存していたマーケティングのノウハウが、システムとして蓄積され、再利用されていきます。
そして今、大きな分岐点に来ています。このような仕組みを取り入れる企業と、従来のやり方を続ける企業の差は、これから急速に広がっていきます。
先に動いた企業ほど、データ・顧客体験・収益のすべてで優位性を積み上げていきます。
1,000億件という数字が示しているのは、その可能性です。
AIが人を置き換えるのではなく、人とAIが一緒に意思決定を行う。より速く、より正確に、より大きな成果を出すために。
それが、私たちがAuxiaで実現しようとしていることです。

マーケティングにおけるAIエージェントの進化:アシスタントから自律型キャンペーン運営へ
AIエージェントは業界全体のマーケティング部門を変えつつあります。単なる自動化ツールにとどまらず、キャンペーン戦略や実行における「知的パートナー」として機能し始めています。いまやマーケティングチームは、クリエイティブ制作からデータ分析まで、ほぼすべての工程にこれらの高度なシステムを組み込んでいます。
この変化は、マーケティングの運営そのものを根本から変えるものです。AIは人間の創造性や戦略的思考を置き換えるのではなく、それを拡張しつつ、実行・最適化・分析といった重労働を担います。その結果、人間だけでは不可能だった「迅速で、パーソナライズされ、データに基づいた」マーケティングが可能になります。
この記事では、AIエージェントの役割を5つの主要分野から解説します。
1) クリエイティブ制作:数週間から数時間へ
広告文、コピー、ビジュアルなどの制作は、生成AIエージェントによって劇的に加速しました。以前はコピーライターやデザイナーが数週間かけていた作業が、今では数時間で可能です。
コカ・コーラ「Create Real Magic」事例
2023年、コカ・コーラはGPT-4とDALL·Eを活用した「Create Real Magic」プラットフォームをローンチ。消費者が共創したコンテンツはわずか数か月で12万件を突破しました。社内でもAIはアイデア出しやデザインに活用され、限定ドリンク「Y3000」のコンセプト開発にも応用されました。
実務効率の向上
EC小売りのAdore Meは、商品説明文の作成をAIに任せ、月30〜40時間かかっていた作業を1時間に短縮(97%削減)。その分、人間は戦略的業務に集中できるようになりました。
2) 顧客リサーチ:膨大なデータから洞察を抽出
効果的なマーケティングの基盤は顧客理解です。AIエージェントは膨大なデータを分析し、迅速に有用な洞察を提供します。
- 消費財企業はコールセンター記録やレビューを分析し、課題や機会を発見
- B2Bマーケターは公開レポートやLinkedInデータをAIで収集
- 調査会社はAIチャットボットによる自動顧客インタビューを試験導入
これにより、戦略は直感や小規模調査に頼るのではなく、大規模で網羅的なデータ分析に基づけるようになっています。
3) キャンペーン実行:リアルタイム最適化
複雑なマルチチャネル展開をAIエージェントが自動調整し、成果をリアルタイムで最適化します。
Google Performance Max
GoogleのPerformance Maxは、検索・YouTube・Gmail・Mapsなどを横断して自律的に予算配分・配置最適化を行うAIエージェントです。マーケターは目標とクリエイティブ素材を渡すだけで、後はAIが最適化を続けます。
企業での活用例
- アクセンチュアは自律エージェントを用いて大規模キャンペーンを最小限の人手で運用
- カルフールは各SNSに合わせた自動クリエイティブ最適化を導入
AIは常時稼働し、広告の停止、予算配分変更、メール送信時間の最適化まで瞬時に判断。人間は戦略を定義し、AIが戦術を担います。
4) ライフサイクルマーケティング:1人ひとりに最適化
顧客のライフサイクルに応じたメッセージ配信をAIが個別最適化します。
スターバックス「Deep Brew」
AIエンジンDeep Brewはリワード会員の購買データを分析し、個人ごとにおすすめを提示。天気や時間帯も考慮し、再来店や購入額増に大きな効果を上げました。
高度なセグメンテーション
Auxiaの「Decision Agent」は行動や属性に基づく自動セグメント化を行い、最適なタイミングでパーソナライズされた通知やメールを配信。人間の手作業では不可能な精度とスピードを実現しています。
5) データ分析:24時間体制のマーケティングインテリジェンス
膨大なマーケティングデータをAIが常時監視し、異常やチャンスを即座に検出します。
- KPI低下や広告効果の急上昇を自動で通知
- 複数システムのデータを統合し、経営陣向けのレポートを自動生成
従来は月次で行っていた分析がリアルタイムで可能になり、マーケティング判断が大幅に高速化しました。
ワークフローの変革:AI導入前後の比較
従来のメールキャンペーン
人間がリストを抽出し、コピーを作り、A/Bテストを設定、送信後は数日かけて分析しレポート化。
AI導入後
- AIが高度なセグメントを自動作成
- コピーAIが各セグメント向け文面を生成
- オーケストレーターAIがA/Bテストを実施し、勝ちパターンを展開
- 分析AIがリアルタイムで結果を監視し、改善を即時提案
人間は承認と戦略的判断に集中し、作業は数週間から数日に短縮されます。
実装上の課題
- 信頼と監督:AIに権限を与えるにはブランド保護の仕組みと人間の最終承認が不可欠
- データ統合と品質:サイロ化したデータや精度不足が大きな障害
- スキルと文化変革:AI活用には新しいスキルと意識改革が必要
- 戦略的導入:小さな成功事例から広げることがスケールへの近道
人間とAIの協働による未来
AIはマーケティングを「人力中心の作業」から「人間+機械の協働」へ変えつつあります。戦略やブランドの声は人間が担い、実行や最適化はAIが支援するハイブリッド型チームが主流になるでしょう。
既に基盤技術は整っており、今後1〜3年でプロアクティブなAI支援がさらに普及していきます。先行企業は、パーソナライズ効果65%向上や業務時間の大幅削減といった成果を示しています。
結論:拡張されたマーケティングの未来
AI導入の本質は「人間を置き換える」ことではなく、「人間の創造力を拡張する」ことです。AIを大胆に受け入れた組織は、競合に先んじてよりパーソナライズされ、効果的なキャンペーンを展開できます。
AIエージェントが支えるマーケティングの時代はすでに始まっています。成功の鍵は「どれだけ早く適応できるか」です。
Auxiaについてもっと知りたい方は、ぜひデモをご予約ください。

マーケティングにおけるAIエージェントの進化:アシスタントから自律型キャンペーン運営へ
マーケティングの大転換
マーケティングの世界は、根本的な変化を迎えています。かつての自動化といえば、条件付きメール配信、予約済みのSNS投稿、簡単なセグメンテーションなど、ルールベースのものでした。ところが今のAIエージェントは、単に決められた手順をこなすのではなく、観察し、学習し、従来は人間のマーケターだけが担っていた意思決定を行えるようになっています。
この変化は単なる技術革新にとどまらず、マーケティングチームのあり方そのものを再定義するものです。たとえば:
- 人間が時間をかけて分析していたキャンペーン成果を、AIはリアルタイムで継続的に最適化
- クリエイティブチームが手作業で繰り返していたA/Bテストを、AIが数百のバリエーションを同時生成・検証
- マネージャーが複雑に調整していたマルチチャネル展開を、自律エージェントがシームレスに実行
しかしこの進化は、「創造性や戦略的思考、人間的なブランド構築はどうなるのか」という根本的な問いを突きつけています。AIエージェントが「アシスタント」から「完全自律のキャンペーンマネージャー」へと進化するなかで、課題は技術にとどまらず、組織的・創造的・哲学的なものへと広がっています。
この記事では、AIエージェントが「高度なアシスタント」から「自律型キャンペーンオーケストレーター」へ進化するまでの道筋を探ります。
マルチエージェント型マーケティングチームの登場
マーケティングチームは、複数のAIエージェントを抱える「マルチエージェントシステム」へと進化しつつあります。人間を置き換えるのではなく、AIは企画、クリエイティブ生成、実行、分析といったプロセス全体で「アシスタント」として組み込まれます。
ここで重要なのは「人間が中心にいて、専門AIを指揮する」という新しい組織モデルです。単に人間の職種をAIツールに当てはめるのではなく、知識の流れや人間の介入ポイントを設計する必要があります。
このモデルでは、人間のマーケターは「指揮者」や「品質管理者」として役割を担い、AIエージェント同士がモジュール的にタスクを受け渡していきます。人間とAIがバランスよく協働することで、信頼性や文脈理解を維持しながら、エージェントをより深く組み込むことができます。
マーケティングにおけるエージェント成熟の5段階
AIエージェントの活用レベルは大きく差があり、次の5段階に分類できます(Scott Belskyの一般モデルを応用)。
ステージ1:高度化したFAQ的サポート
AIはスマートなFAQやアシスタントのように働き、質問に応じてパーソナライズした回答や推奨を返す。反応的で一段階の対応にとどまる。初期のFAQチャットボットや基本的なパーソナライゼーションはここに含まれる。
ステージ2:リアクティブな提案
指示を与えると有用な成果物を生成。例:パラメータを入力すると、メール文案やSNSカレンダーを作成。多くの現行のマーケティングAIツールがこの段階。
ステージ3:プロアクティブな提案
指示されなくても状況を見て提案する。例:「過去のキャンペーンから、このオーディエンスに通知を追加すべき」といった提案。2025年現在ではまだ少ないが、早期の事例が出始めている。
ステージ4:プロアクティブな行動
提案に加えて、自ら行動を実行。例:成果の悪い広告を自動で停止、テストを開始して報告する。プログラマティック広告などで初期的な導入が進んでいる。
ステージ5:完全自律型ワークフロー
人間が高レベルの目標を与えるだけで、AIが企画、予算配分、コンテンツ制作、配信、最適化まで全てを担う。GoogleのPerformance MaxやMetaのAdvantage+が近い例だが、まだ実験段階。
現状と今後の展望
2025年現在、多くの組織はステージ1〜2からステージ3に移行しつつあり、先進的な事例ではステージ4を模索しています。ステージ5は依然として将来のビジョンにとどまりますが、プログラマティック広告のような特定分野では萌芽が見え始めています。
人間とAIの協働による未来
未来のマーケティングには、最新のAIツールを導入するだけでは不十分です。必要なのは、組織の構造や役割分担そのものを再設計し、競争力を維持することです。
AIネイティブなチームの構築
成功する組織は、既存のプロセスにAIを付け足すのではなく、最初から人間とAIの協働を前提に設計します。人間は戦略、ブランド、感情的共鳴に集中し、AIは実行、テスト、リアルタイム最適化を担当します。
信頼とコントロールの課題
AIの自律度が高まるほど、リーダーは効率性とブランドの一貫性の両立を迫られます。明確なガバナンスとフィードバックループが不可欠です。
新しい競争環境
AIが普及すれば、優位性は「ツールを持つこと」から「統合の仕方」へと移ります。人間の創造性を拡張するためにAIを使いこなすことが差別化の鍵となります。
まとめ
企業はまずステージ2と3を確実にマスターし、インフラと文化を整備することが重要です。
マーケティングの未来は「AIが人間をどれだけ置き換えたか」ではなく、「AIが人間の可能性をどれだけ解き放ったか」で決まります。AIを共同パートナーとして受け入れた組織こそが、記憶に残るブランドを築いていくでしょう。
Auxiaについてもっと知りたい方は、ぜひデモをご予約ください。

マーケティングの未来図:分断から統合へ、AIが導くスタック変革
“There are only two ways I know of to make money: bundling and unbundling.”
(翻訳:「お金を稼ぐ方法は2つしかない。バンドル(統合)かアンバンドル(分離)かだ」)
ーーJim Barksdale(Netscape元CEO)
30年前に語られたこの言葉は、今のマーケティングテクノロジー業界にもそのまま当てはまります。長らくマーケティングの現場では、複数の目的別ツール(ポイントソリューション)が乱立し、企業ごとに10種類以上のツールを抱えることも珍しくありませんでした。
しかし今、業界は転換点に差し掛かっています。マーケティングスタックの統合が始まり、それを可能にする鍵はAIです。
これまでエンタープライズソフトウェアは「分離と統合」のサイクルを繰り返してきましたが、今回のサイクルは過去と比べて意味合いがまったく異なります。顧客の期待は高まり続け、マーケターにはROIの厳密な説明責任が課されています。しかも、顧客の注意は一瞬で移り、競争も激化の一途をたどっています。
この状況で、マーケティング全体を通じてデータ・インサイト・アクションを即座に統合できない企業は、市場競争で取り残されていくでしょう。
分断されたツール群の限界
ここ1年で数十社のマーケティング部門と話す中で、CMO、CTO、CIOたちが口を揃えて語るのは、「もうツールが多すぎる」という疲弊です。
中規模の企業でさえ、マーケティングに複数の専用ツールを使用しています。たとえば、メール自動化、カスタマーデータ管理、A/Bテストなどです。しかし、それぞれが独立して動いており、データの共有もなければ、顧客を一貫して理解する視点もありません。
こうした分断のコストは、単にツールのライセンス料だけでは済みません。統合のために外部の専門家、データエンジニア、代理店に多額の費用を投じている企業も多く、ツールそのものより運用コストが高いケースさえあります。
さらに致命的なのは「パーソナライズのパラドックス」です。これほど多くのマーケティング技術を使っていながら、本当にパーソナライズされた体験はほとんど実現できていないのです。ルールベースの設定やバッチ処理では、実際の顧客行動から乖離した画一的な体験しか生み出せません。
統合を後押しする技術的転換点
マーケティングスタックの統合を現実的にした技術は、主に2つあります。
1つ目はクラウドネイティブなデータウェアハウスの進化
Snowflakeの登場以降、企業は何十億円も投じて、あらゆる顧客データ(構造化データ・非構造化データの両方)を一元的に管理できるようになりました。
2つ目はトランスフォーマーモデル(LLM)の進化
この技術革新によって、AIが膨大かつ多様なデータをリアルタイムで処理し、顧客ごとの最適な判断を瞬時に行えるようになりました。
さらにAPIの整備が進んだことで、「システム間のデータ連携」ではなく「AIによる意思決定」がマーケティングの主役となりつつあります。
新しいスタックの姿:インテリジェンスレイヤー
従来のように「データ収集→分析→活用」といった分離されたプロセスではなく、データウェアハウスと顧客接点の間に“インテリジェンスレイヤー(AIエージェント)”が挟まれる、これが今後の主流です。
このインテリジェンスレイヤーは、リアルタイムかつ文脈に応じた意思決定を自動で行います。
- 意思決定エージェント:顧客ごとに最適な行動を選択
- 分析エージェント:パフォーマンスを評価し、改善提案を自動化
- コンテンツエージェント:最適なメッセージ・クリエイティブを生成
結果として、従来のようにキャンペーン単位でのA/Bテストを何週間もかける必要はなく、システムが常に最適化を自動で行うようになります。
セグメンテーション、テスト、パーソナライズ、分析など、これまで分離されていたツールはすべてこのレイヤーに集約され、より高精度・高スピードで運用されます。
実際の成果:Auxia事例
Auxiaが支援した企業では、以下のような成果が出ています。
- グローバルマーケットプレイス企業:ユーザー単位のAIによる意思決定に切り替えた結果、LTV(顧客生涯価値)が84%向上
- 世界的金融機関(資産5,000億ドル以上):オンボーディング完了率が50%改善、同時に22倍のテスト実行を実現
いずれも、ルールベースではなく、購入履歴・行動履歴・属性情報などをもとにAIがミリ秒単位で最適判断する仕組みに移行したことがブレイクスルーとなりました。
マーケターが今、問われている選択
これまでのマーケティングソフトウェア再編との違いは、「単なる統合」ではなく新たな可能性の開花にあります。
たとえば「リアルタイムパーソナライズ」を例にとると、多くのシステムが“なんちゃってリアルタイム”に過ぎません。本当のリアルタイムとは:
- ユーザーがあるカテゴリの商品を検索した瞬間
- その直前の購入履歴・閲覧傾向・属性などを総合的に分析
- そして、最適な別カテゴリ(例:スポーツ用品)を提示し、クロスセルを狙う
これを数秒ではなくミリ秒レベルで実行するのが、本物のパーソナライゼーションです。従来のツール群では、これは到底実現できません。
現在成果を出している企業は、「新しいツールを導入した」だけではなく、「マーケティングの運営そのものを再設計している」のです。分析や意思決定をAIが担う世界において、従来の体制は最適とは言えません。
マーケターはこの変革を能動的に進めるか、競争に押し流されて後手に回るかの選択を迫られています。
詳しくは、ぜひAuxiaの公式サイトよりお問い合わせください。

グロースレコメンデーションのためのスケーラブルな推論基盤
Auxiaは、エージェント ベースのカスタマー ジャーニー オーケストレーション・プラットフォームであり、エンタープライズ顧客に対してパーソナライズされたマーケティング施策を提供します。顧客企業は、アプリ内、メール、その他のデジタル体験において、APIを通じて「Decision(施策)」と呼ばれるレコメンデーションを取得することで、Auxiaと統合します。
エンタープライズ向けにサービスを提供する場合、インフラは必然的に大規模なスケーリングの課題に直面します。現在Auxiaでは、秒間6,000件を超えるリクエストを処理しており、予測レイテンシの99パーセンタイルを100ms以下に抑えることを目指しています。各リクエストでは、およそ1,000通りのユーザー向け施策から最適なものを選定する必要があります。
本記事では、こうした要件を満たすために構築した高性能な推論基盤について詳しくご紹介します。
リアルタイムパーソナライゼーションをスケーリングする
私たちAuxiaでの、アーキテクチャの意思決定では、3つの重要要件があります:
- 高スループット、低レイテンシ処理:数千の同時リクエストに対して100ms未満で応答
- リアルタイムの文脈データ統合:新鮮なユーザー文脈や行動データを推論に取り込む
- マルチテナントモデル対応:顧客と目標の組み合わせごとに異なるモデルでの同時推論を実現
これらの要件の組み合わせにより、ロードバランスされたサービスインスタンス間で動的にモデルを読み込める、高性能なリアルタイム推論システムが求められました。
アーキテクチャ:Kotlin + TensorFlow Serving Sidecar
私たちは、Kubernetesポッド内にKotlinサーバ(制御プレーン)とTensorFlow Servingバイナリ(推論エンジン)を同居させる構成を採用しました。この設計により、懸念事項の明確な分離を保ちつつ、高性能と柔軟性の両立を実現しています:
- Kotlinサーバー:動的なモデル読み込み、モデルメタデータの管理、入出力テンソル変換、ライフサイクル・オーケストレーション
- TensorFlow Serving:gRPCベースのAPIにより、学習済み TensorFlow モデルに対する高速な推論処理を提供
モデルロジックはTensorFlow側に隔離され、オーケストレーションやビジネスロジックはKotlinサーバーに集中する設計となっています。
Kotlin + gRPCの技術基盤を持つ私たちにとって、この設計はKotlinの強み(特に非同期プログラミングにおけるコルーチン)を活かしつつ、機械学習インフラの複雑さを抽象化します。Kotlin層では以下を担当しています:
- インフラ抽象化:さまざまなモデル形式(ONNX、TorchServe、ホステッドサービス)にも対応できる構造
- 動的モデル管理:Artifact Registryからモデルを読み込み、TensorFlow ServingのModelServiceを管理
- 形式変換:ユーザーや施策の特徴をモデル入力用のテンソルへ変換し、出力されたテンソルを施策スコアへ戻す
TensorFlow Servingを選んだ理由
TorchServeのような代替案ではなく、TensorFlow Servingを選定した理由は以下のとおりです:
- gRPC APIの利点:強い型付けとプログラマティックに定義されたインターフェースで、バイナリ シリアライズにより通信サイズと CPU負荷を削減。大量の特徴量を扱うAuxiaにおいて特に重要
- 高パフォーマンス:即時的な意思決定モデルを可能にする、ネィティブでマルチスレッド処理に最適化された C++ 実装
- 本番環境向けの機能:動的モデル読み込みの対応や自動バッチ推論への組み込み対応
一方で、以下のような課題もあり、Kotlin 側で補完しています:
- 動的読み込みの制約:技術的には動的読み込みには対応しているが、当初のバイナリは静的なモデルに最適化されている
- 実運用での検証不足:コンテナ内でのCPU誤認識など現場ならではの問題が発生
- 最適化要件:すべてのTensorFlow演算が高速とは限らないため、モデル形式の設計が重要
推論抽象化レイヤー
AuxiaのPrediction (推論) Service は、推論の複雑さを抽象化し、施策を軸に開発されたシンプルなAPIを提供しています。この抽象化により、様々なモデルアーキテクチャーをサポートできています。例えば、バンディット (Bandit) アルゴリズムやツリーベース のアップリフトモデル、そして深層学習を使った推薦モデルなどをサポートしています。
主な特徴:
- 統一API:一貫性のある一つのインターフェースを提供し、基盤となるモデル実装に依存しない。ユーザー特徴量はkey-value形式または構造化オブジェクトで、施策特徴量はkey-valueで受け取り、出力形式も明確に定義(単一スコアまたは施策ごとのスコアリスト)
- 動的モデル管理:サーバー再起動不要でモデルの入れ替えが可能、継続的な実験や改善を促進
- システムに組み込まれたモニタリング:すべてのモデルから排出される予測におけるレイテンシやエラー率を自動収集し、システムの信頼性を担保
- 開発者向けツール:モデルを検証する機能や検証用の環境でも安全にテストできる APIを用意
推論最適化のための入力形式設計
TensorFlow Servingは、フラットな名前空間のテンソルを入力として要求します(テンソル名とデータをマッピングした辞書)。Python版TensorFlowが対応するような入れ子構造(辞書、RaggedTensorsなど)とは異なり、より厳密な制約があります。これにより、スケール時における構造化特徴量の表現が課題となります。
最適化までの試行錯誤:
- 初期方式:特徴ごとに個別テンソルを作成し、特徴名を鍵にする。これは実装は簡単ですが、膨大なテンソル数のシリアライズ・名前解決のコストにより効率が悪い
- tf.Example形式:TensorFlow標準のシリアル形式にエンコード する。こちらはProtoパースが重く、遅延が改善されなかった
- 最終方式(最適化済):同じ特徴を1つの均一型のテンソルにまとめ、インデックスで識別 をする。この手法ではテンソル数を最小化しながらも、TensorFlowの内部にある特徴レゾリューションと同調
実装詳細
- ユーザー特徴量:例えば [None, 4] 型の数値テンソルで表現、インデックスは特定の特徴に準ずる(signup age、LTVなど)
- 施策特徴量: [None, None, N] 形式のテンソルでユーザーあたり複数の施策に対応し、treatment_countsテンソルでユーザーごとの区切りを示す
- GPU最適化:TensorFlow Servingの自動バッチ機能を活用。treatment_countsテンソルでパディング除去や区切り再構築を処理
メタデータ管理:トレーニングと推論時の整合性を保つため、テンソルindexと特徴名の対応をメタデータファイルで管理
この最適化された設計により、p99レイテンシを100ms未満に抑えながらリクエストごとに最大1,000施策をスコアリングを、6,000QPS で提供することができました。
サービングモデル検証フレームワーク
すべての学習済みモデルは、Prediction Service APIと互換性を持つ必要があります。そのため、次の3段階からなる包括的なローカルテストフレームワークを構築しました:
環境構築
- Kotlin Prediction ServiceとTensorFlow Servingを含む完全な本番相当スタックをローカルに起動
- モックではなく実際のバイナリで検証可能
テストオーケストレーション
- pytestと補助クラスで管理
- モデル配置や高レベルのクライアント操作を抽象化
- テスト記述者はpandas DataFrameで操作し、裏側でテンソル変換、gRPCリクエスト、レスポンス解析が行われる
テスト実行
- ファイルベースの検証エンドポイントでモデルと特徴ファイルを読み込み、スコアを出力ファイルに保存して整合性を検証
- 運用環境配備前に、モデルが正常に読み込まれ推論可能かを確認
動的モデル読み込み
Auxiaの動的モデル読み込みシステムでは、クライアントからのリクエストごとにモデル名とダイジェスト(内容のハッシュ)を指定できます。それに応じて、対応するモデルを透過的に取得・検証・サービングするため、推論サーバの再起動は不要です。
モデル配布
モデルは、Google Cloud Artifact Registry に OCI イメージとして公開されます。各イメージには、以下のような内容が含まれます:
- TensorFlow SavedModel(/data/tensorflow_serving_model/model)
- 入出力形式を記述した metadata.json ファイル
これにより、機械学習エンジニアやデータサイエンティストが頻繁にモデルを更新し、latest や canary などのフローティングタグで本番環境に素早く反映できるようになります。
実行時アーキテクチャ
受信した gRPC Predict リクエストは、ModelRegistry を経由して適切な ModelLoader にルーティングされます。TensorFlowモデル用のコンテナに関しては、次のようなフローです:
- DockerModelLoader:完全修飾画像名を解決し、live や canary タグを処理、イメージマニフェストを取得し、対象の Digest に基づいた軽量な spec を生成
- TensorflowModelLoader:モデルをローカルに配置し、2つの状態マシンを協調して管理。Auxia側の内部状態とTensorFlow Serving側の構成が常に同期するよう調整
ステートマシン管理
ModelStateMachine 各モデルのライフサイクルを管理:
- NEW → DOWNLOADED:ローカルにファイルをステージング
- DOWNLOADED → LOADED:TensorFlow Servingに構成リロードを送信
- LOADED → AVAILABLE:GetModelStatus APIでServingの準備完了を確認
- 一定時間に使用されなかったモデルは自動的にアンロード&削除。時間は調整が可能
- 一時的な障害処理のためのバックオフタイマー付き読み書きミューテックスガード
TFServingStateMachine 全モデルの統合状態を管理:
- すべてのロード済みモデルを1つの ModelServerConfig に集約
- ReloadConfigRequest API を通じて一括更新を行うことで、操作競合や TensorFlow Serving の既知バグ(unknown-status エラーなど)にも対応
両ステートマシンは、Kotlin のコルーチン上で専用ディスパッチャーを使って非同期に動作するため、サーバーの I/O スレッドをブロックすることはありません。
Auxiaでは、Canary デプロイを正式にサポートしています。機能はアーキテクチャに組み込んであり、_canary タグ付きモデルを検出すると、Docker loader が ModelCanaryConfig protobuf をイメージ ラベルから読み取り、トラフィックの振り分け比率やモニタリングパラメータを設定しています。
本システムは、リクエストの一部を新バージョンに確率的にルーティングしながら、ライブバージョンへのトラフィックを維持しています。カナリアモデルは事前にウォームアップされるため、レイテンシのスパイクの発生を最小化しています。レイテンシ、エラー率、出力分布のモニタリングにより、プロモーションまたはロールバックが自動的に判断されます。
この仕組みにより、ゼロダウンタイムでのモデルライフサイクル管理が可能になり、安全かつ迅速な実験と本番展開が実現します。
レイテンシとパフォーマンスの改善
- Auxia の最適化により、推論パイプライン全体で大幅なレイテンシ改善を達成しました
- 注:レイテンシのグラフは対数スケールで示されています。数値は高負荷状態下での負荷テスト結果に基づいており、本番環境ではさらに10倍速いこともあります。Python Pandas をベースとした旧システムでは 99 パーセンタイルのデータは存在しません。
- 入力形式の最適化、効率的なバッチ処理、動的モデル管理の組み合わせにより、Auxiaは高い性能目標を満たしながらも、機械学習の迅速な実験と展開に必要な柔軟性を維持しています。
詳しくは、ぜひ Auxiaの公式サイトよりお問い合わせください。


AuxiaのAnalyst Agent:AIの意思決定に「なぜ」を加える進化
本日、長い時間をかけて準備してきた大きなアップデートを皆さんにご紹介できることを、とても嬉しく思います。私たちの「Analyst Agent」(分析エージェント)が、ついに新しく生まれ変わりました。これにより、マーケティングチームが施策の効果を分析する方法が大きく変わります。
たとえば、「最も成果が出ている顧客層にはどんな特徴があるのか?」「特定の流入チャネルから来たユーザーに最も響いたメールのパターンはどれか?」といった問いへの回答を、データサイエンスチームに依頼し、何日も待った経験はないでしょうか?私たちはその課題を解決するためにAnalyst Agentを開発し、今回のアップデートでさらにスピーディーかつ賢く、そしてパワフルになりました。
質問すればすぐに「理由」がわかる
新しくなったAnalyst Agentでは、専門知識がなくても、施策の成果が出た「理由」がすぐに分かります。たとえば、こんなふうに自然な言葉で質問するだけです:
- 「先週改善したオンボーディングメールに最も反応したのはどの層?」
- 「アプリ内のアップセル施策は、高所得層に対して効果があった?」
- 「成果が高かったクリエイティブにはどんな傾向がある?逆に悪かったのは?」
私たちのDecision Agent(意思決定エージェント)は毎日、何億回もの意思決定を行っています。最適なアクションやコンテンツ、インセンティブ、配信タイミングなどを選んでいるのです。そして今回、Analyst Agentによって「なぜその選択がうまくいったのか」まで明らかになります。
「ブラックボックス」からの脱却
AIは確かにルールベースの仕組みよりも高い成果を出すことができますが、背景にあるロジックが見えにくく、チームは結果を“勘”で解釈するしかない——これがいわゆる“ブラックボックス問題”です。今回のアップデートで、その壁を打ち破ります。
今回のアップデートで実現した3つの進化
1. アイデアのスピードで動ける
これまで数週間かかっていた分析作業が、チャットベースのインターフェースで即座に完了します。つまり、実験・学習・成果創出のスピードが格段にアップします。
2. 専門知識がなくても使える
マーケターの思考に沿って設計されているため、技術的なスキルは不要。顧客層、地域、コンテンツのバリエーションなど、知りたいことを自然に聞くだけで、重要な示唆が引き出されます。
3. エンタープライズレベルの安心感
既存のデータと安全に接続でき、プライバシー・パフォーマンス・コンプライアンスの基準もクリア。データの共有はされず、企業の知見は常に保護されます。
インサイトが積み重なり、企業の「知」になる
Analyst Agentは従来のBIツールとは違い、単なるデータの可視化ではなく、より深いキャンペーンレベルの示唆を引き出す設計になっています。
Auxia独自のトリートメントフレームワークと意思決定データと連携しているため、「誰に」「いつ」「どんな施策を行い」「どんな結果が出たか」をリアルタイムに把握できます。しかも、手動の設定は一切不要。自動で効果測定や比較分析を行い、即時に明確な示唆を提示します。
さらに使えば使うほど、社内に知見が蓄積されていきます。過去の質問、分析、結果が一元的に記録され、パターンを学習。やがては、まだ質問していないことまで先回りして提案してくれるようになります。
つまり、成長インテリジェンスは「蓄積しながら進化」するのです。
賢い意思決定のパートナーとして
Analyst Agentは、ただの質問ツールではありません。思考を共にする“パートナー”です。
- 実行可能な分析を提案してくれる
- 問いの意図を深掘りする追加質問をしてくれる
- あなたの仮説や回答に応じてリアルタイムに対応を変える
キャンペーン戦略を検証したいときも、成果の急上昇に理由を見出したいときも、このエージェントが「本当の問い」を一緒に探し出してくれます。
今後の展開について
アップグレードされたAnalyst Agentは、現在一部の顧客に提供を開始しており、この夏の間に順次拡大していきます。すでにAI Decision Agentをご利用いただいている方には、きっとその連携の効果を実感していただけるはずです。まだAuxiaをお使いでない方も、今が最適なタイミングです。
デモをご希望の方は、こちらのフォームからぜひお申し込みください。
